ご挨拶

 国土交通省のデータによれば、2021年末現在の築40年以上のマンション戸数は、約115.6万戸。これが10年後には249.1万戸、20年後には、425.4万戸という、想像を絶する数に膨れ上がります。
 また、兵庫県内には約 54 万戸、約 10,000 棟のマンションがあり、総住宅数の約 1/5 を占め、居住形態として定着しています。
 さらに、神戸市、阪神間で県全体のマンションの9割程度の棟数を占めるなど、地域ごとにマンションの立地状況が異なっています。この様な状況の下、高経年マンションが今後急増すると、見込まれています。

 こうした高経年マンションの急増は、建物の老朽化による費用面を含むメンテナンスの困難化、居住者の高齢化による収入の低下、役員のなり手不足等を招き、適切な管理ができない管理不全マンションを大量に生み出す危険性が予測されます。
 管理不全マンションの存在は、言うまでもなく単に当該マンションだけの問題ではなく、その立地する地域に大きな影響を与えます。外壁やバルコニーの崩落による危険は当然のこと、周辺の地価や地域の治安に与える影響も決して無視できません。滋賀県野洲市の事例のように、わずか9戸のマンションの行政代執行による解体に約1億1800万円の費用がかけられ、2022年4月現在で回収できたのは、3分の1の約3900万円に過ぎないとされています。
 管理不全マンションの急増に国や地方公共団体が危機感を強める中、「マンション管理適正化法」が2020年(令和2年)6月に一部改正が行われ、2022年4月に施行されました。第5条の2に基づく助言・指導及び勧告に関する制度並びに第5条の3に基づくマンションの管理計画認定に関する制度が開始されています。

 これらの制度の中で、マンション管理士、とりわけ一般社団法人兵庫県マンション管理士会等全国管理士会とその連合組織でありマンション管理士の唯一の全国団体である日本マンション管理士会連合会(日管連)への期待は大きく、特に認定マンション管理士には、予備認定や事前確認において審査を行う極めて重要な業務が与えられています。
 私たちは、マンション管理士の法的規定や、当会の定款、倫理規定の定めを誠実に遵守し、マンションの管理の適正化に資する公益的な活動を行う団体であり、公正公平な第三者として、マンション管理組合の管理者等や区分所有者等の相談に応じ、助言、指導、その他の援助を行う者の団体であることを深く自覚し、結成後20数年を迎える今日に至るも、結成当初のマンション管理士の信用と社会的地位の向上に努めた苦難の日々を決して忘れることなく活動していく所存です。

一般社団法人 兵庫県マンション管理士会
会長 高橋 敏幸